高齢で長期の住宅ローンを組めない親と、年収や自己資金が少なくて十分な融資を受けられない子ども。
そんな親子向けの住宅ローンに、親子リレーローンというものがあります。
この記事では、親子リレーローンのメリットとデメリット、借り換えをすることはできるのかをくわしく解説していきます。
監修者:河田憲二(株式会社AlbaLink 代表取締役)
大学在学中に創業したwebマーケティング事業を売却し、その資金で株式会社AlbaLinkを創業する。同社は空き家の買取や事故物件の買取を専門とする不動産業者。また、同社が運営しているサービスサイトである「訳あり物件買取プロ」の運営責任者も務めています。同社は東京証券取引所の東京プロマーケット市場に上場している(証券コード:5537)
親子リレーローンとは
親子リレーローンとは、親と子で1つの住宅ローンを組み、二世代にわたって返済していく方法です。
まずは親が返済を始めますが、途中で親から子にバトンタッチして子どもが返済をしていきます。
「親子」となっていますが、祖父母と孫でも利用することも可能です。
親子リレーローンと親子ペアローンの違い
親子ペアローンと似ている気もしますが、様々な点で違いがあります。
親子ペアローンは親子でそれぞれ1本ずつの住宅ローンを契約するのに対して、親子リレーローンは親子2人で1本の住宅ローンを契約します。
また、親子ペアローンは2人が同時期に並行して返済をしていくのに対して、親子リレーローンは2人が同時期に返済することはありません。
親子ペアローンではそれぞれが団信に加入しますが、親子リレーローンでは子どものみが団信に加入するのが一般的です。
親子リレーローンのメリット
長期の住宅ローンを組むことができる
金融機関にもよるのですが、住宅ローンの完済時の年齢は80歳前後というのが一般的です。
60歳であれば最長でも20年前後の住宅ローンまでしか組めません。
高齢になった親は長期での住宅ローンを組むことが困難なため、返済期間が短くなり、月々の返済額も高くなってしまいます。
しかし、親子リレーローンであれば、途中から子供が返済することになるため長期の住宅ローンも組めるようになります。
35年ローンも選ぶことができ、毎月の返済額を抑えることが可能です。
借入金額を増やせる
親子リレーローンは、親と子の2人の返済能力で審査されるため、1人で住宅ローンを組むよりも多くの金額を借りることができます。
若い子どもの収入が少なくても、親子リレーローンなら借入可能額を増やせるため、住宅選びの選択肢も広げられます。
親子ともに住宅ローン控除を適用できる
親子リレーローンでは親が初めに返済をしますが、返済中の親はもちろん、返済が始まっていない子どもも住宅ローン控除を適用することができます。
契約は1つで済む
ペアローンだと契約が2本になりますが、親子リレーローンの契約は1本だけです。
契約が1本だけですので、ペアローンに比べて手続きの手間も諸費用も抑えることができます。
親子リレーローンのデメリット
基本的には親子の同居が前提条件
親子リレーローンを組むための条件は、親子で同居していること、または同居の予定があることです。
同居を考えていない人は申し込むことができません。
ただ、一部の親子リレーローンは同居を条件にしていないものもあります。
ライフステージの変化に対応しにくい
親子リレーローンの返済中に、転勤や転職、結婚や離婚などで別居をすることになるかもしれません。
親子リレーローンの返済中でも別居は可能ですが、子どもの支払い義務は残ります。
別居して新しい物件を購入したくても、新たな住宅ローンを組めないケースが多いです。
親の債務が残る可能性がある
ほとんどの親子リレーローンでは、団信に加入するのが子どものみです。
親には団信がないため、親に万が一のことが起こった際には、その残債を子どもが返済していくことを求められます。
その場合は返済計画に大きな変化が求められます。
団信のない親には、万が一のために預貯金または生命保険で対応できるように備えておくべきです。
相続時のトラブルになる可能性がある
親子リレーローンを組むと、住宅の持ち分はローンの返済割合に比例させるのが通常です。
親が亡くなって相続が発生した場合、住宅の親の持ち分をどのようにするのか、遺族間でトラブルになる可能性があります。
子どもに兄弟姉妹がいるときには、親子リレーローンを組む前に、相続についても事前に話し合っておくのがいいでしょう。
親子リレーローンに借り換えることはできる?
単独で組んでいる住宅ローンの返済が、老後に苦しくなるケースは少なくありません。
このようなケースで親子リレーローンに借り換えることは可能です。
現在の住宅ローンは金利も低いですから、親子リレーローンへの借り換えをすることで、返済額を大きく節約できる可能性もあります。
一方で、親子リレーローンの返済比率や住宅の持ち分によっては、贈与税が発生してしまうケースもあります。
贈与税だけでなく、先ほど挙げた親子リレーローンのデメリットも考慮が必要なので、親子リレーローンへの借り換えは専門家のアドバイスを受けながら手続きを行っていくことが必要です。
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