交通事故でケガをしたり、車が破損したりすれば、加害者へ損害賠償請求をすることができます。
加害者が任意保険(自動車保険)に加入していれば、それらは保険会社から支払われますが、加害者が任意保険未加入だと賠償金を受けるのは困難です。
この記事では、任意保険未加入の車にぶつけられた時に泣き寝入りしない方法について解説していきます。
任意保険未加入車は意外と多い
ほとんどのドライバーにとって、任意保険に加入するのは当たり前のことかもしれません。
ところが、任意保険に加入していない車両も結構あるのが現状です。
損害保険料率算出機構が公表している「2021年度自動車保険の概況」によると、自動車保険と自動車共済の全国での普及率は88.4%です。
つまり、9台に1台は任意保険(共済含む)に加入していません。
公道を運転するたびに、何台もの任意保険未加入車とすれ違っていると考えるだけでゾッとします。
任意保険に入っていない人がすんなり賠償することはまずない
任意保険への加入は文字通り任意ですが、事故の加害者になったときの賠償責任から免れることはできません。
しかし、イメージしてみてください。
任意保険に加入していない人が、すんなり賠償してくれるでしょうか。
すんなり賠償するくらいなら、最初から任意保険に加入しているはずです。
任意保険の更新をうっかり忘れてしまった人ならまだしも、あえて任意保険に加入していない人がすんなりと賠償してくれるケースは、かなりまれです。
任意保険に入っていなくても対人賠償は自賠責保険から出る
車をぶつけてきた加害者が任意保険に入っていなくても、ケガの通院などに対しては相手の自賠責保険から賠償されます。
自賠責保険は、被害者1名につき次の補償があります。
後遺障害・・・最高4,000万円
死 亡・・・最高3,000万円
少なくとも対人に関する補償は、加害者の加入する自賠責保険から受け取ることができます。
自賠責保険には対物補償がない
自賠責保険は対人の補償のみです。
対物の補償は一切ないため、車の修理費用などは自賠責保険から支払ってもらうことはできません。
相手が任意保険だけでなく自賠責保険にも未加入のときは?
任意保険とは異なり、自賠責保険への加入は法律で義務付けられています。
車検を通すときには、自賠責保険への加入も必要です。
それでも中には、自賠責保険にも入っていない人が存在します。
相手が自賠責保険にすら未加入だった場合、対人賠償も受けられないのでしょうか。
実は、相手が自賠責保険に入っていないときには、政府保障事業という制度を利用することができます。
政府保障事業とは
政府保障事業は、ひき逃げや自賠責保険未加入車との事故での被害者救済のために、政府(国)が損害を肩代わりしてくれる事業です。
賠償される金額は、自賠責保険の支払い基準に準じています。
政府が肩代わりした金額は加害者へ請求され、支払われない場合には財産が差し押さえられる仕組みです。
政府保障事業の請求窓口は、損害保険会社となっています。
政府保障事業からの支払いは半年から1年以上かかることもある点と、被害者に過失があると支払われる金額が減ってしまう点には注意が必要です。
任意保険未加入の車にぶつけられた時に泣き寝入りしない方法
ぶつけてきた相手が任意保険に加入していなくても、自賠責保険または政府保障事業から賠償を受けることが可能です。
しかし、それは対人賠償のみですし、金額にも限度があります。
相手が任意保険未加入でも泣き寝入りしないためにできる対策を考えてみましょう。
無保険車障害特約を付けておく
無保険車にぶつけられても泣き寝入りしなくていいように、無保険車障害特約を付けておくと安心です。
無保険車障害特約が付いていれば、無保険車との事故で死亡や高度障害になったときに、自賠責保険の賠償額を超える部分をカバーしてくれます。
無保険車障害特約によって保険金が支払われても、ノンフリート等級は下がりません。
人身傷害保険と搭乗者傷害保険を充実させておく
無保険車障害特約は死亡と高度障害のみの補償ですが、人身傷害保険と搭乗者傷害保険はケガによる通院などをカバーする保険です。
人身傷害保険からは実際の損害額が支払われ、搭乗者傷害保険からは入通院日数や高度障害の程度に応じて決められた金額が支払われます。
人身傷害保険と搭乗者傷害保険も、無保険車障害特約と同じく、保険金が支払われてもノンフリート等級は下がりません。
車両保険に加入する
車の修理費をカバーしてくれるのは車両保険です。
ぶつけられた相手が任意保険未加入で車の修理費を支払わないときは、自分の任意保険の車両保険を使うことができます。
ただ、車両保険を使うとノンフリート等級は3等級ダウンしてしまいます。
また、車両保険を付けると保険料は跳ね上がってしまいます。
複数の保険会社を比較して、保険料の安い任意保険を選ぶなどして工夫するといいでしょう。
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