【生命保険の見直し】先進医療の保障って必要?

 医療保険やがん保険の説明を受けるときに必ずと言っていいほど聞く先進医療。よく耳にするけれど、いまいちよく分かっていない人も多いはず。

「先進医療ってどんな治療?」

「先進医療を受けた人は回りにいなけれど、受けている人はどれくらいいるの?」

「先進医療の保障って必要?」

こういった疑問を解消できるように、くわしく説明していきます。

先進医療とは?

先進医療とは法律で次のように定義されています。

厚生労働大臣が定める高度の医療技術を用いた療養その他の療養であって、保険給付の対象とすべきものであるか否かについて、適正な医療の効率的な提供を図る観点から評価を行うことが必要な療養。

日本は国民皆保険制度なので、健康保険証を提示することで医療費の負担は3割(所得や年齢によっては2割または1割)です。しかし、それは健康保険が適用となる保険診療だけです。

新しい医療技術や治療法が出てきても、すぐに承認されて健康保険の適用になることはありません。その治療法を実際に行った上で、健康保険の適用とするかどうかを評価する必要があります。それを評価療養と言いますが、先進医療も評価療養の1つです。

先進医療の技術料は全額自己負担

先進医療は健康保険の適用外なので、健康保険を使うことはできません。先進医療にかかる技術料は全額自己負担になります。

先進医療の技術料ってどれくらいかかるの?

先進医療は全額自己負担なので、技術料も高額になるイメージがあるかもしれません。

確かに重粒子線治療や陽子線治療のように300万円ほどかかる高額な治療もありますが、一方で技術料が数万円の先進医療もあり金額はまちまちです。また、同じ先進医療であっても、医療機関によって費用は異なります。

先進医療は保険診療との組み合わせが可能

本来なら健康保険が適用される保険診療も自由診療と組み合わせると健康保険は使えず、全額自己負担となってしまいます。しかし、先進医療は保険診療との併用が認められています。

保険診療と先進医療を組み合わせると、先進医療の技術料は全額自己負担ですが、併用する保険診療に関しては3割(所得や年齢によっては2割または1割)負担で済みます。

2021年12月現在の先進医療は83種類

2021年12月1日現在で、83種類の医療技術が先進医療と指定されています。がん治療に用いられる重粒子線治療や陽子線治療は、メディアでもよく取り上げられる有名な先進医療です。

先進医療には入れ替わりがある

先進医療は評価療養のため、見直しがあります。健康保険の適用となるものもあれば、健康保険の適用にならないで先進医療からも外れてしまう医療技術もあります。

先進医療特約の保険料が安い理由

医療保険に付加できる先進医療特約の保険料は、月100円ぐらいからあります。保障額は通算2,000万円ほど。先進医療にかかった技術料と同額、もしくは少し上乗せされた給付金が支払われるのが一般的です。

2,000万円の保障が月100円と聞くとかなり安く感じませんか?なぜ先進医療特約はこんなに安いのでしょうか?

先進医療を使う頻度は少ない

保険会社は営利企業であって、先進医療特約を月100円程度で出しているのはボランティアでもサービスでもありません。その金額でもしっかり利益が出るように設計されています。

つまり、月100円程度で保険会社に利益が出るくらい、先進医療を使う頻度は少ないということです。令和1年7月1日~令和2年6月30日の先進医療の実績は次のようになっています。

  •  技術数            83
  •  実施医療機関数    252施設
  •  全患者数       5,459人
  •  先進医療の総額   約62億円

日本の人口が約1億2,600万人なのに対して、該当の1年間に先進医療を受けた人は5,459人ということは、約23,000人に1人の割合(0.0043%)です。

先進医療の総額約62億円を日本の全人口で割ると、1人当たり年間50円弱です。月100円ということは年間1,200円なので、保険会社は様々な経費を差し引いても、先進医療特約から十分利益を得られることが分かります。

先進医療特約の注意点

治療を受けた時点で先進医療であることが必要

先進医療は入れ替わりがあります。新しく先進医療になるものがあれば、先進医療から外れるものもあります。

先進医療特約の保障を受けるためには、治療を受けた時点で先進医療に指定されている必要があります。かつて先進医療だった医療技術も、治療時に先進医療から外れていたら給付対象外です。

認められた医療機関のみ対象

 先進医療が認められるのは、医療技術ごとに認められた医療機関のみです。先進医療は評価療養であり、その成果を国に報告する義務があるためです。

先進医療となっている医療技術であっても、認められていない医療機関で受けると給付金は支払われません。

がん保険につける先進医療ではがんに関する先進医療しか保障されない

一般的に、先進医療特約が付加できるのは、医療保険とがん保険です。また、ほとんどの保険会社では1被保険者あたり1つの先進医療特約しか付けられません。

がん保険と医療保険の両方に加入するのなら、先進医療特約は医療保険に付加しましょう。がん保険に付加する先進医療特約は、がんに関する先進医療しかカバーしていないからです。

先進医療の半数近くはがんに関するものですが、保険料は数十円しか差がないので、念のためがん以外の先進医療もカバーしておいた方が安心です。

先進医療特約はあった方がいい

先進医療を使う可能性はとても低く、ほとんどの人は一生に一度も使わないはずです。先進医療の保障がなくて困る人もほとんどいません。

しかし、もし自分のかかった病気の治療法の1つに先進医療があったらどうでしょうか。もしその先進医療が高額な技術料だったとしても、先進医療の保障がないと選択肢に入れるまでもなくあきらめなければならないかもしれません。今後どのような先進医療が出てくるかも分かりません。

月々100円程度で万が一の際の選択肢を増やすことができるので、先進医療特約には加入しておく方がいいと思います。

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