生命保険には、保険料の払込猶予期間というものがあります。保険料の支払いがストップしてしまっても、払込猶予期間内に保険料を払い込むことができれば、その生命保険は継続することが可能です。
しかし、払込猶予期間内に保険料を支払わずに滞納していると、その保険は失効してしまいます。
この記事では、生命保険の失効後に何もせずに放置したらどうなるのか、失効してしまったらどうすればいいのかをくわしく解説していきます。
生命保険の失効とは
生命保険の保険料を払込猶予期間内(月払だと払い込みがなかった翌月の1ヶ月間)に納めないと、その保険は失効します。
失効とは、文字通り効力を失うことです。失効中は一切保障を受けることができません。1億円の死亡保障であっても、失効中に亡くなってしまったら保険金は1円も支払われません。
何かあっても経済的に困らないように加入する生命保険が失効してしまうと、悲惨な状況に陥る可能性があり、とても危険な状態です。
失効しても一定期間内なら復活できる可能性がある
払込期間中に保険料を払わずに失効しても、ほとんどの保険は一定期間内であれば、元に戻す『復活』をできる可能性があります。
この一定期間を復活可能期間と言い、3年が一般的です。保険会社や保険種類によっては、復活可能期間が1年や2年などとなっていることもあります。
復活可能期間内であっても無条件で復活できるわけではなく、次の3つが必要です。
・復活の申し込み手続き
失効した保険契約を復活させたい意思を保険会社に伝えます。復活させるための書類を記入して提出します。
・滞納している未払保険料の払い込み
支払いがストップしたときから復活までの期間の保険料を払い込みます。保障されていない失効中の保険料も支払わなければなりません。
・告知または審査
保険の新規契約時と同じように、告知書の提出か審査を受けることが必要です。告知や審査の結果によっては、引き受けてもらえず復活できないこともあります。
保険料を滞納しても失効しないケースもある
保険料を支払っていなくても、保険が失効しないケースがあります。解約払戻金がある保険で、自動振替貸付が行われるケースです。
自動振替貸付とは、解約払戻金の一定の範囲内で保険会社が自動的に保険料を立て替えてくれる制度です。自動振替貸付があれば、うっかりして保険料の払い込みが出来なくても、失効を防いでくれます。
一方でデメリットもあり、自動振替貸付には数%の利息がかかります。予定利率が高いお宝保険ほど、自動振替貸付の金利も高いので要注意です。
ちなみに、貸付残高が増えて解約払戻金の一定の範囲を超えてしまうと、自動振替貸付は行われなくなって失効することになります。失効中でも貸付残高に対しては利息がかかるので、この状態で放置しておくのは絶対にやめましょう。
失効した生命保険を放置したらどうなる?
失効した生命保険の復活手続きを取らず、解約もしないで放置したらどうなるのでしょうか。
失効後に放置された保険が復活可能期間を過ぎてしまうと、復活させることができなくなります。この状態でできることは、解約手続きのみです。
生命保険が失効してしまったらどうするのがベスト?
生命保険が失効してしまったらどうしたらいいのでしょうか。
ベストな選択はケースバイケースですが、選択肢は次の4つのいずれかです。
すぐに復活手続きをする
失効した保険の保障内容が今も必要で、復活するための保険料を払えるのなら、復活手続きをするのがおすすめです。
復活手続きが完了するまでは保障がないので、1日も早く手続きをしましょう。
解約手続きをする
失効した保険の保障内容がもう必要ないようであれば、これを機に解約するのがベストです。
解約払戻金がある生命保険であれば、失効中であっても解約払戻金は残っています。解約手続きを取ることで、解約払戻金を受け取ることができます。
払済保険か延長保険にする
失効した保険を復活させたいけど、復活させるだけの保険料が払えそうにないとき、保険種類によっては払済保険や延長保険に変更することができます。
・払済保険
解約払戻金を一時払保険料に充当して保険を継続させます。保険金額は減額され、特約も消滅しますが、保険期間は変わらず、今後の保険料の支払いは不要です。
・延長保険
延長保険も払済保険と同様に、解約払戻金を一時払保険料に充当して保険を継続させます。払済保険と異なるのは、保険金額は変わらずに保障期間が短くなる点です。延長保険も特約は消滅し、今後の保険料の支払いは必要ありません。
失効のまま放置する
失効した保険が必要で復活させたいけど、一時的にお金がないだけでしばらくしたらお金も入って問題なく継続できるなら、そのまま放置してもいいかもしれません。
しかし、失効中は保障がないので、そのまま放置するのは基本的にはNGです。
失効した保険を放置するデメリットには次のようなものがあります。
解約払戻金を受け取れない
失効して復活可能期間を過ぎた保険は解約するしかありません。
解約払戻金がある保険でも、通常は放置して解約手続きをしなければ、解約払戻金を受け取ることはできません。(中には、失効して復活可能期間を過ぎたときに自動返金をしている保険会社もあるようです。)
上限を超えてしまい加入できないことがある
各保険会社では、1人当たりの保障額や特約の上限を定めています。その上限には、失効中の保険の保障額も含まれてしまうので注意が必要です。
たとえば、先進医療特約はどの保険会社でも1人1特約しか加入できません。先進医療特約が付いている保険が失効している場合、その失効している保険の先進医療特約を解約しないかぎり、同じ保険会社で新たに加入する保険に先進医療特約を付加することはできません。
自動振替貸付の利息がかかる
さきほども説明したように、自動振替貸付の貸付残高が解約払戻金の一定の範囲を超えると失効します。
失効中でも貸付残高に対しては利息がかかり続けます。放っておくと、貸付残高と利息の合計が、解約払戻金を超えてしまう可能性もあるので危険です。
払い込みが困難になったら保険の見直しを
失効していいことは1つもありません。生命保険の保険料の払い込みが困難になってきたら、失効する前に保険を見直すべきです。どれも必要な保障であったとしても、保険料を払えなくて失効してしまっては意味がありません。
現在の家計の状況を見ながら、必要性の高い保障に絞っていくことが重要です。
ファイナンシャルプランナーのアドバイスを聞きながら、自分の必要な保障を見極め、継続可能な保険を考えていきましょう。
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