日本人の死因は、昭和56年以降ずっとがんが第1位です。日本人の2人に1人以上が一生のうちにがんにかかり、年間では30万人以上の人ががんで亡くなっています。
がんは日本人にとって身近な病気だけあって、がん保険の加入率は日本が世界一です。生命保険文化センターの「令和元年度 生活保障に関する調査」によると、がん保険の加入率は42.6%にものぼります。
そのがん保険の死亡保険金ががんなのに出ない、という声を何度か聞いたことがあります。この記事では、がん保険の死亡保険金をくわしく説明し、支払われるケースと支払われないケース、その見分け方を紹介していきます。
がん保険には様々な給付金や保険金がある
日本国内で販売されているがん保険は数十種類もあります。それぞれのがん保険によって内容は異なりますが、おもな給付金や保険金には次のようなものがあります。
医療保険の給付金と区別し、がんに対してのみの保障であることを明確にするため、給付金名称の最初に「がん」を付け加えて、「がん○○給付金」と呼ばれるケースが多いです。
最近のがん保険は、保障をがん治療に特化しているため、死亡保障が付いていないケースが増えています。がん保険の死亡保険金は、比較的古いがん保険にはよく付いています
がん保険の死亡保険金は2種類ある
がん保険の死亡保険金は、2種類あります。1つはがん以外が原因で亡くなったときに支払われるもの、もう1つはがんが原因で亡くなったときに支払われるものです。
がん以外の原因で支払われるものは、死亡保険金、死亡給付金、死亡払戻金のような名称で呼ばれ、がんが原因で亡くなったときに支払われるものは「がん死亡保険金」と呼ばれるのが一般的です。
がんの死亡保険金の種類は、死因が「がん」か「がん以外」かの違いで分けられる
がん死亡保険金が支払われるケース・支払われないケース
がん保険のがん死亡保険金には、支払われるケースと支払われないケースがあります。
がん死亡保険金はがんが原因で亡くなったときに支払われる保険金です。がんがあり、そのがんが原因となって亡くなったのであれば、がん死亡保険金は支払われます。
がんがない状態、もしくはがんが死因ではないとき、がん死亡保険金は支払われません。
がんなのにがん死亡保険金が支払われないケース
がんがあっても死因ががん以外だと、がん死亡保険金は支払われません。
たとえば、肺がんがあって通院で治療をしていたけど、交通事故に遭って亡くなってしまった場合、がんはあっても死因には関係ありませんので、がん死亡保険金は対象外です。
では、がんの治療のための入院中に肺炎で亡くなってしまったらどうでしょうか。この場合はケースバイケースで、支払われる可能性も支払われない可能性もあります。
がん死亡保険金の支払い可否を見分けるポイントは、医師が書く死亡診断書です。
がんが死因かどうかを見分ける方法
通常、生命保険会社は診断書を見て支払いの判断をします。
保険会社には毎日ものすごい数の請求があるので、1件1件を細かく調査することは不可能で、不審な点がなければ診断書のみで判断します。がん死亡保険金の対象になるかどうかも、基本的には死亡診断書で決まります。
死亡診断書の死亡の原因の欄は、上の画像のような書式になっています。
ローマ数字でⅠとⅡとあり、Ⅰの中に(ア)~(エ)までの欄があります。Ⅰの(ア)は直接死因で、この欄にがんと記入されていれば、間違いなくがん死亡保険金の対象です。また、(ア)の欄に他の病名が記載されていても、その下の(イ)~(エ)のどこかにがんのことが記載されていれば、がんが死因とみなされてがん死亡保険金の対象となります。
一方でⅡの欄には死因と関係のない傷病名が書かれるので、ここにがんと記載されるとがんは死因ではないと判断され、がん死亡保険金の対象外となってしまいます。
先ほどのがんの治療のための入院中に肺炎で亡くなってしまったケースだと、Ⅰの(ア)に肺炎と書かれるはずですが、(イ)~(エ)のどこかにがんのことが記載されれば、がん死亡保険金は支払われます。しかし、(イ)~(エ)にがんのことが記載されなかったり、Ⅱの欄にがんと記載されたりすると、がん死亡保険金の支払い対象外です。
つまり、この死亡診断書を記入する医師が、がんを直接の死因かその原因になっていると判断して、Ⅰの(ア)~(エ)にがんと書いてくれるかどうかが、がん死亡保険金の支払いを決める分かれ道になります。
死亡診断書「死亡の原因」Ⅰの(ア)~(エ)にがんの記載あり → がん死亡保険金の対象
死亡診断書「死亡の原因」Ⅰの(ア)~(エ)にがんの記載なし → がん死亡保険金の対象外
ちなみにこの見分け方は、がん保険のパイオニアでがん保険の契約件数が一番であるアフラックの社員の方に教えてもらいました。他の保険会社だと判断基準が多少異なる可能性もあるので、ご了承ください。
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