ペイオフ対象外の生命保険を貯金代わりに契約していいのかを解説 | スマネジ+

ペイオフ対象外の生命保険を貯金代わりに契約していいのかを解説

生命保険には掛け捨てタイプと貯蓄タイプのものがあります。貯蓄タイプの生命保険だと、貯金代わりに加入する人もいます。

しかし、生命保険と預貯金は似て非なるものです。預貯金は対象になるペイオフも、生命保険は対象外です。

この記事では、ペイオフ対象外の生命保険を貯金代わりに契約してもいいのかどうかを、くわしく解説していきます。

生命保険と預貯金の違い

貯蓄タイプの生命保険は、継続することで解約払戻金が貯まっていき、預貯金に似ているところがあります。学資資金や老後資金を、生命保険で準備する人も少なくありません。

しかし、違いもたくさんあります。生命保険と預貯金の違いを1つずつ見ていきましょう。

保障の有無

生命保険と預貯金の一番の違いは、保障の有無です。

死亡保険であれば、死亡時に死亡保険金が支払われます。それに対して預貯金の場合、死亡しても受け取れる金額はこれまでに蓄えた金額とわずかな利子だけです。

一見すると保障がある生命保険の方がよさそうですが、場合によっては死亡保険金がこれまでの払込保険料を下回ることもあります。保障の有無に関しては、一概にどちらが有利とは言えません。

流動性

預貯金はいつでも引き出したり、使ったりすることができます。定期預金も途中で解約して、お金を引き出すことができます。

生命保険は解約や減額をすることで払戻金を受け取れますが、即日換金することはまず無理です。また、契約して日が浅いうちだと、これまでに払い込んだ保険料よりも大きく目減りした金額になってしまいます。

生命保険には契約者貸付という制度もありますが、これはあくまでも貸し付けです。契約者貸付には高い金利が適用されます。流動性に関しては、生命保険よりも預貯金に分があります。

控除の有無

生命保険には、税制面での優遇である生命保険料控除があります。1年間に支払った保険料額に応じて、所得が控除されて節税をすることが可能です。実際の節税額はケースバイケースですが、所得が多くて税率が高い人ほど、節税効果も高くなります。

預貯金に税制面での優遇はなく、いくら貯めても節税にはなりませんので、控除の点では生命保険の方が有利です。

受取時の税金

預貯金はいつ引き出しても、課税されることはありません。利息を受け取るときに、約20%の所得税が差し引かれるだけです。

生命保険は受取人と保険料負担者の関係によって、保険金や解約払戻金に課税される税金の種類は異なります。支払った保険料より少ない保険金額でも課税されることがあれば、支払った保険料よりも多い解約払戻金を受け取っても非課税になることもあり、ケースバイケースです。

相続時の扱い

生命保険金には、相続税の非課税枠が設けられています。非課税枠は「500万円×法定相続人の数」なので、妻と子3人であれば2,000万円(500万円×4人)までの保険金は非課税です。

預貯金には相続時の優遇等はないので、2,000万円あれば全額が相続財産として扱われることになります。

相続時の扱いでは、生命保険の方が優遇されています。

ペイオフの対象かどうか

預貯金はペイオフの対象です。銀行などの金融機関が破綻しても、一般的な預貯金であれば1人1金融機関ごとに、元本1,000万円と利息分は保護されます。

一方の生命保険は、ペイオフの保護の対象外です。生命保険会社が破綻しても、生命保険契約者保護機構が存在するため、保障が完全になくなることはなく、責任準備金等の9割までは補償されますが、保障が削減される可能性があります。

金融機関の破綻時は、ペイオフがある預貯金の方が手厚く保護されています。

元本割れ

預貯金は自分で使わないかぎり減らないので、元本割れはありません。預けた金額にわずかな利息がプラスされるくらいです。

生命保険では解約払戻金や満期保険金が総払込保険料を上回ることはありますが、解約のタイミングによっては元本割れするリスクがあります。契約して日が浅いうちの解約では、ほぼ間違いなく元本割れです。

預貯金よりも生命保険の方が、元本割れリスクは高いです。

予定利率と金利

利息が付く預貯金には、金利があります。金融機関が定めた金利に応じて、利息が振り込まれます。

ちなみに、最近のメガバンクの普通預金金利は0.001%です。100万円を1年間預けても、利子は10円にしかなりません。さらに約20%の税金を引かれて、実際には8円しか増えないので、ほぼないに等しい状況です。

預貯金の金利に対して、生命保険には予定利率というものが設定されています。予定利率とは、保険会社が契約者に約束する運用利回りのことです。

予定利率は保険会社や保険商品によってまちまちですが、今は0.5%前後が多いようです。0.5%は普通預金金利の500倍ですが、だからと言って生命保険の方が有利というわけではありません。

保険料がまるまる運用されるわけではなく、諸費用などを引いた分が運用されるからです。運用利回りは預貯金よりも生命保険の方が高いのですが、生命保険には諸費用がかかるので、予定利率と金利を単純に比較することはできません。

ただ、生命保険の予定利率は預貯金の普通預金金利よりも高いので、複利の恩恵は受けやすいと言えます。長期であれば、生命保険の方が受け取る金額が大きくなることも少なくありません。

生命保険は貯金代わりに契約してもいいのか

生命保険と預貯金の違いを見ていくと、それぞれの特徴が見えてきます。

生命保険は税制面での優遇があり、長期だと利益が出やすい一方で、元本割れリスクがあり、流動性も低く、すぐにお金を使うのには不向きです。

預貯金は元本割れのリスクは少なく流動性も高いのですが、なかなか増やすことができず税制面での優遇もありません。

これらの特徴を踏まえると、次のように判断することができます。

 急な出費や数年後の旅行資金 → 生命保険は不向き

 数十年後の老後や相続の資金 → 生命保険も選択肢の1つ

生命保険が貯金代わりなるかを考える上では、その貯金の目的を明確にすることが重要です。

自分の貯金の目的が、生命保険に向いているかどうか判断に迷うときには、ファイナンシャルプランナーと相談するのもおすすめです。良心的なファイナンシャルプランナーであれば、ベストな提案とアドバイスをしてくれるでしょう。

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