住宅ローンの金利は様々な要因によって変動します。
日銀の政策金利も、住宅ローン金利に影響を与える要因の1つです。日銀はマイナス金利を解除しましたが、これは住宅ローン金利にどのような影響を与えるのでしょうか。
くわしく解説していきます。
日銀のマイナス金利とは
日銀は2016年1月から長期にわたって、マイナス金利を行ってきました。このマイナス金利とは、金融機関が日銀にお金を預けたときにかかる利息がマイナスになることです。
マイナス金利の場合、銀行は日銀にお金を預けると利息を支払わなければなりません。そのため、銀行は日銀ではなく企業や個人に貸し出すようになります。
マイナス金利を行うと金融市場に資金を大量供給することで、金利を引き下げてお金が借りやすくなります。そして、企業の成長や個人の消費意欲を高めることによって、デフレから脱却するために取り入れられた制度です。
日銀のマイナス金利解除はいつ?
日銀は2024年3月の金融政策決定会合で、マイナス金利の解除を決定し、政策金利を0.1%にしました。日銀が政策金利を引き上げるのは、2007年以来17年ぶりのことです。
日銀はマイナス金利解除が決定された理由を「2%の物価安定の目標が持続的・安定的に実現していくことが見通せる状況に至った」と説明しています。昨今の物価上昇や賃金上昇を背景にデフレ脱却の見通しがたち、マイナス金利の必要性はなくなったと判断したのでしょう。
さらに、日銀は7月31にも政策金利の追加利上げを発表し、政策金利は0.25%になっています。
マイナス金利が解除されたことによる影響
マイナス金利が解除され、4か月後に追加利上げも行われたことで、銀行の預金金利は上昇しています。
大手都市銀行の普通預金金利は、これまで長い間0.001%でしたが、2024年9月時点では0.100%となっています。まだまだ低い金利ではありますが、半年で100倍になったのは間違いなくマイナス金利解除の影響です。
それに対して住宅ローン金利は、2024年9月までにそこまで大きな変化は見られません。多少の金利引き上げはちらほら耳にするものの、今もなお低金利の状態が続いています。
今後の住宅ローンはどうなる?
今後の住宅ローンがどうなるのかを正確に当てられる人はいませんが、少しずつ金利は上がっていくというのが大方の予想です。
日銀は今後も段階的に利上げを行っていくと見られています。日銀の利上げにともなって、住宅ローン金利も上がっていくと考えている人が多いようです。
しかし、住宅ローン金利は上がっても欧米のような高金利にはならないだろうという意見が大半です。
そもそも日本は借金大国です。2024年8月には、「国の借金」が6月末時点で1311兆円になったとの発表もありました。
このような状況下で金利が大幅に上昇してしまうと、国の利払いも大幅に増えて日本の財政を圧迫しかねません。政府や日銀は、金利が大幅に上昇するのを防ぐ手立てを講じるのはまず間違いないでしょう。
ただ、住宅ローン金利は世界の経済状況にも影響を受けるもので不確定です。
住宅ローン金利の決められ方
住宅ローンの金利がどのように決められるのかを説明します。金利の決められ方は金利タイプによって異なります。
変動金利の決められ方
変動金利に影響を与えるのは短期プライムレートです。
短期プライムレートとは、金融機関が優良企業に対して短期(1年以内)で貸し出す時に適用する最優遇貸出金利のことです。短期プライムレートは各金融機関独自のものですが、実際にはほとんどの金融機関が横並びとなっています。
この短期プライムレートに大きな影響を与えるのが、日銀が決定する政策金利です。一般的には、政策金利が上がると変動金利も上がります。
固定金利の決められ方
固定金利は、10年国債利回りなどの長期金利を参考に決められます。
10年国債利回りは、欧米の影響も受けやすいのが特徴です。
日銀が利上げをしても、FRB(米連邦準備理事会)やECB(欧州中央銀行)が利下げをすると10年国債利回りは下がり、固定金利も下がる可能性があります。
今の住宅ローンに不安を感じたら借り換えを検討
日銀がマイナス金利を解除し、今後も利上げが見込まれる状況下で、住宅ローンの金利が緩やかに上がっていくことが予想されます。
最近では約8割の方が、変動金利の住宅ローンを選んでいるとのことです。変動金利は固定金利に比べて低金利なのが魅力ですが、金利上昇局面では返済額が増えていくリスクもはらんでいます。
今後の住宅ローンの金利動向に不安を感じる場合は、住宅ローンの借り換えを検討するのも選択肢の1つです。
固定金利から変動金利に借り換えて月々の返済額を減らしたり、変動金利から固定金利に借り換えて返済額が増えても安心を優先させたりすることができます。また、契約中の住宅ローン金利が高い場合には、同じ金利タイプに借り換えても総支払額を減らせる可能性があります。
住宅ローンで不安を感じたら、とりあえず借り換えシミュレーションをしてみるのもおすすめです。
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