フラット35以外の住宅ローンは、契約するときに団信にも申し込みます。住宅ローンの返済期間中に契約者が亡くなって、支払いができなくなる事態を避けるためです。
この団信が適用されて保険金が支払われる場合、団信の保険金に対して税金はかかるのかどうか、確定申告は必要なのかどうかを説明していきます。
団信のしくみ
団信とは団体信用生命保険の略で、生命保険の一種です。住宅ローン契約者が亡くなったり、所定の高度障害になったりすると、住宅ローンの残債が金融機関に払われる生命保険です。
団信が適用された時点で住宅ローンは完済となるので、遺族は残った住宅ローンを支払うことなく住宅を手に入れることができます。
通常の生命保険との大きな違いは、受取人が金融機関であることです。団信の保険金は遺族の手には渡らず、直接金融機関に支払われます。
団信適用時の税金
団信が適用された場合に課税されるのかどうか、3つのケースで見ていきましょう。
契約者死亡時の団信への課税は?
住宅ローン契約者が亡くなって金融機関に団信の保険金が支払われた場合、その保険金に対しては一切課税されません。そもそも団信の保険金は受取人が金融機関なので、遺族は1円も受け取りません。
ただ、住宅ローンが完済された不動産は、その後の相続で相続税の課税対象になります。その相続の際、住宅ローンは団信によって完済されているので、債務として遺産総額から差し引くことはもちろんできません。
高度障害時や特約に該当した時の課税は?
団信は亡くなった時だけでなく、所定の高度障害時にも適用されます。また、特約によっては、がんになったり三大疾病になったりすることで団信が適用されることがあります。
契約者が亡くならなくても所定の高度障害になったり、特約の保障に該当したりして団信が適用された場合も、団信の保険金に対して課税されることはありません。
所得税や住民税が課税されるケースもある
団信の保険金に関しては基本的に非課税ですが、一部例外もあります。それは夫婦連生団信(ふうふれんせいだんしん)の場合です。
夫婦連生団信は、夫婦で住宅ローンを連帯債務で借りるときに入ることができる団信です。フラット35の夫婦連生団信だと「デュエット」とネーミングされています。
この夫婦連生団信は夫婦どちらかが亡くなったり、所定の高度障害になったりした時に、夫婦両方の住宅ローンの残債が団信の保険金で支払われます。
通常の団信ですと夫婦のどちらかが団信の支払い対象(死亡または所定の高度障害)になると、支払い対象となった人の分の住宅ローン残債のみ0円になります。ところが夫婦連生団信だと、夫婦のどちらかが団信の支払い対象になった時に、夫婦2人の分の住宅ローン残債が0円になります。
夫婦連生団信は万が一の際にはありがたい保険ですが、この場合は団信の支払い事由に該当しない人の住宅ローン残債分が一時所得の対象になり、所得税と住民税が課税されることになります。
夫婦連生団信で課税される具体例
夫死亡時の住宅ローン残債が夫1,750万円、妻1,250万円で夫婦連生団信の保険金が支払われると、
夫の住宅ローン残債 1,750万円が0円に ← 1,750万円は非課税
妻の住宅ローン残債 1,250万円が0円に ← 1,250万円は一時所得の対象
亡くなった夫の住宅ローン残債1,750万円は非課税ですが、妻の住宅ローン残債であった1,250万円が一時所得の対象になります。
一時所得にはどれくらい税金がかかるの?
一時所得は次の式で計算します。
先ほどの夫婦のケースを当てはめると、
つまり、600万円がこの夫婦連生団信の保険金による一時所得です。
この600万円にどれくらいの税率がかかるかというと、人によって異なります。一時所得は単独で税金が計算されるわけではなく、給与所得など他の所得と合算して課税されるからです。ですので、所得の多い人ほど、一時所得に対しての税金も多くなります。
一時所得があると所得が増えるので、翌年の住民税(税率は一律で10%)も上がってしまいます。
確定申告は必要?
会社員などで確定申告をする必要のない人は、団信の保険金が支払われたら確定申告が必要なのでしょうか。
答えは、非課税なら確定申告は不要、課税対象なら確定申告が必要です。
団信の保険金に対して、基本的には確定申告は要りませんが、夫婦連生団信で一時所得の対象になる時は確定申告をなければなりません。
課税対象なのに確定申告をしないとペナルティがある
夫婦連生団信で住宅ローンがゼロになった場合は、必ず確定申告をして納税しましょう。
課税されることを知らずに申告しなかった場合、それが意図的でなかったとしても加算税や延滞税などのペナルティが課せられます。税務署から指摘を受けて嬉しいはずはないですし、税金を多く払わされることになるので、課税対象の際には必ず確定申告をしましょう。
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