生命保険に加入するときに受取人を指定しますが、その受取人はいつでも変更することが可能です。被保険者が亡くなって保険金を受け取ろうとしたら、受取人が変更されていて保険金を受け取れないこともあります。
元々の受取人に知らせずに、受取人を勝手に変更することはできるのかどうかを解説していきます。
生命保険の契約者はいつでも自由に受取人を変更できる
生命保険の受取人を変更できるのは保険契約者です。被保険者や受取人には受取人を変更する権利はありません。
契約者はいつでも自由に受取人を変更することができます。受取人の変更に回数の制限はないため、何度でも変更することができます。
生命保険の受取人を変更するときに現在の受取人からの許可は不要
契約者が受取人を変更するときに、現在の受取人に知らせたり許可をもらったりする必要はありません。
受取人に指定されていたのに、いつのまにか変更されていて保険金を受け取れない可能性はあります。その逆のパターンで、自分が知らぬ間に受取人に指定されていることもあり得ます。
契約者は現在の受取人だけでなく、新しく指定される受取人にも知らせる必要はないからです。
たとえば、保険契約者である父親が受取人を長男から次男に変更する場合、父親は長男と次男のどちらにも受取人変更について知らせる義務はありません。
契約者以外が勝手に受取人を変更するのはもちろんNG
生命保険の受取人を変更できるのは契約者のみで、それ以外の人が勝手に受取人を変更することはNGです。
家族や第三者が本人になりすまして勝手に受取人を変更しても、契約者の意思でないことが明らかになれば、その変更は無効とされます。
受取人に指定できる範囲
契約者には受取人を指定する権利がありますが、誰でも受取人に指定できるわけではありません。受取人の範囲が定められていないと、保険金目的の事件が起こるリスクが高くなるためです。
死亡保険金受取人は、配偶者または2親等以内の血族から指定するのが原則です。
受取人に指定できる対象者がいない場合は、他の人を指定することもできますが、どこまでを受取人として認めてくれるかは、保険会社によって異なります。また、事実婚の配偶者や同性パートナーを受取人に指定できる保険会社も増えてきています。
保険会社によって受取人の規定は違うので、配偶者や2親等以内の血族以外を受取人にしたいときは、一度相談してみるといいでしょう。
受取人を変更する際の注意点
受取人変更をするときにはいくつかの注意点があるので、見ていきましょう。
受取人によって保険金に対する税金が変わる可能性がある
契約者(保険料負担者)と被保険者と受取人の関係によって、受け取る保険金にかかる税金が変わる可能性があります。
契約者 | 被保険者 | 受取人 | 税の種類 |
夫 | 夫 | 妻or子 | 相続税 |
夫 | 妻 | 夫 | 所得税 |
夫 | 妻 | 子 | 贈与税 |
契約者が夫、被保険者も夫、受取人が妻もしくは子の場合、保険金に課税されるのは相続税。
契約者が夫、被保険者は妻、受取人が夫の場合、保険金に課税されるのは所得税。
契約者が夫、被保険者は妻、受取人が子の場合、保険金に課税されるのは贈与税。
税金によって控除額や税率が異なるため、一般的に相続税は一番税金が安くなり、贈与税は一番税金が高くなります(一部例外あり)。
相続時に家族の争いになるケースも
契約者が受取人を変更するために、新旧の受取人に知らせる必要はありませんが、彼らに何も知らせないでいると相続時にトラブルになるケースも考えられます。
相続時に余計なトラブルを発生させないためにも、受取人変更の際には新旧の受取人に変更内容を伝えておくことがおすすめです。
生命保険の相続税の非課税枠が適用されるのは被相続人のみ
被相続人が生命保険を受け取ったとき、生命保険金の非課税枠というものがあります。この非課税枠は「500万円×法定相続人の数」です。
受取人を被相続人以外に変更してしまうと、この非課税枠の適用を受けられなくなるので注意が必要です。
保険金の支払い事由発生後に受取人を変更することはできない
契約者は保険金受取人をいつでも変更できますが、支払い事由発生後に変更することはできません。死亡保険の被保険者が亡くなってから、受取人の変更はできないということです。
保険金は支払い事由が発生した時点での受取人に支払われます。
家族や親族の状況に変化があったら必ず受取人をチェックしよう
受取人をどうするのかによって、大きく損をしたりトラブルに発展したりすることがあります。
特に結婚や離婚、出産や死亡などで家族や親族の状況に変化があったときには、必ず受取人の変更が必要ないかチェックしましょう。
生命保険の受取人についての疑問があっても、いつかやろうと後回しにされがちですが、時間を作って早めに解決するべきです。保険会社や担当者、もしくは信頼できるファイナンシャルプランナーに相談するのがおすすめです。
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