生命保険の保険金が出る高度障害状態とは?障害等級1級と同じ?

生命保険(死亡保障)の保険金が支払われるのは死亡時だけだと思っていませんか。

実は亡くならなくても、保険金が出るケースがあります。それは、被保険者が高度障害状態になったときです。

この記事では、保険金が支払われる高度障害状態について説明し、混同しがちな障害等級1級との違いをファイナンシャルプランナーの私がくわしく解説していきます。

ほとんどの生命保険には高度障害保険金がある

生命保険の死亡保障は、死亡時だけでなく高度障害時にも保険金が支払われます。一部の死亡保障には高度障害保険金がありませんが、そういったケースはまれです。

死亡時に支払われる保険金は死亡保険金であるのに対して、高度障害時に支払われる保険金は高度障害保険金と言います。約款に定められた高度障害状態に該当したときに、死亡保険金と同額の高度障害保険金が支払われます。

それでは、その高度障害状態はどのような状態を指すのでしょうか。

高度障害状態とはどんな状態?

高度障害状態とは、病気やケガにより身体の機能が著しく損なわれた状態で、次のいずれかに該当している状態です。

・両眼の視力を全く永久に失ったもの 
・言語またはそしゃくの機能を全く永久に失ったもの
・中枢神経系・精神または胸腹部臓器に著しい障害を残し、終身常に介護を要するもの
・両上肢とも手関節以上で失ったかまたはその用を全く永久に失ったもの
・両下肢とも足関節以上で失ったかまたはその用を全く永久に失ったもの
・1上肢を手関節以上で失い、かつ、1下肢を足関節以上で失ったか、またはその用を全く永久に失ったもの
・1上肢の用を全く永久に失い、かつ、1下肢を足関節以上で失ったもの

見慣れない単語も含まれていますが、上肢とは腕、下肢とは脚を指します。手関節とは手首の関節のことで、足関節とは足首の関節のことです。

どれも日常生活に支障をきたすレベルの障害状態です。「高度」となっているだけあって、かなり重い障害であることが分かります。

障害等級1級とは

身体障害等級は、身体障害者福祉法で定められたものです。この身体障害等級は、障害の種類によって次の9つに分けられています。

 ・ 視覚障害
 ・ 聴覚又は平衡機能の障害
 ・ 音声機能、言語機能又はそしゃく機能の障害
 ・ 肢体不自由
 ・ 心臓、じん臓又は呼吸器の機能の障害
 ・ ぼうこう又は直腸の機能の障害
 ・ 小腸の機能の障害
 ・ ヒト免疫不全ウイルスによる免疫の機能の障害
 ・ 肝臓の機能の障害

それぞれの障害ごとに、等級の基準が設けられています。

たとえば、視覚障害で一番程度の重い1級の基準は次のとおりです。

両眼の視力(万国式試視力表によって測ったものをいい、屈折異常のある者については、きょう正視力について測ったものをいう。以下同じ。)の和が0.01以下のもの

他の障害でも程度に応じた等級が決められていて、1級~6級に該当する障害者は、身体障害者手帳を発行してもらうことが可能です。

ちなみに、聴覚又は平衡機能の障害と、音声機能、言語機能又はそしゃく機能の障害に関しては、程度の一番重い障害でも1級に該当するものはありません。

また、よく混同されてしまっているのですが、身体障害手帳の等級と障害者年金の等級は、基準が異なっています。身体障害等級1級に該当しても、必ずしも1級の障害者年金が受け取れるわけではありません。

高度障害と身体障害等級1級は別物

高度障害と身体障害等級も基準が異なる別物です。視力について比べてみると、高度障害は視力を全く失った状態ですが、身体障害等級1級は両眼の視力の和が0.01以下の状態で、違っていることが分かります。

身体障害等級1級であっても高度障害状態に該当しなければ、生命保険の高度障害保険金は支払われません。

高度障害保険金を受け取るときの注意点

高度障害状態となり、高度障害保険金を受け取る場合には、いくつかの注意点があります。

高度障害保険金の受取人は被保険者本人

亡くなった場合の受取人は指定されている死亡保険金受取人ですが、死亡保険金受取人には高度障害保険金を受け取る権利はありません。高度障害保険金の受取人は、高度障害状態になった被保険者本人です。

被保険者本人が受け取ることができないときは、登録されている指定代理請求人が代理で請求できます。

なお、死亡保険金は課税対象なのに対して、高度障害保険金は非課税です。

死亡保障が主契約だと保険そのものが終了し死亡保険金は受け取れない

死亡保障が主契約の場合、高度障害保険金を受け取ると保険契約そのものが終了し、死亡保険金を受け取ることはできなくなります。相続税対策として生命保険に加入しているのなら、高度障害状態になっても高度障害保険金を請求しないで、死亡保障を残しておいた方がいいケースもあります。

また、保険契約が終了すると、付加されている特約も消滅してしまう点には要注意です。付加されている入院特約などを残したいときは、高度障害保険金を請求しなければ継続することができます。

現在の保険契約の内容を確認しよう

高度障害状態になる確率はそれほど高くないため、生命保険に加入するときに高度障害の保障をあまり気にしていない人も多いかもしれません。

しかし、いつ何が起こるか分からないのが人生です。自分や家族が高度障害になってしまったときに、生命保険からどんな保障を受けられるのか、内容を確認しておきましょう。

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