住宅ローンを契約する前に知っておきたい団信の免責事項や重大事由 | スマネジ+

住宅ローンを契約する前に知っておきたい団信の免責事項や重大事由

住宅ローンの団信は、契約者の死亡時や所定の高度障害時に残債を支払ってくれる重要な保険です。しかし、どんな時でも必ず支払われるわけではありません。生命保険と同じように免責事項があるからです。

何か起こってから、「こんなはずではなかった」と思わないためにも、住宅ローンを契約する前に免責事項や重大事由に目を通すことは大切です。

住宅ローンに免責事項や重大事由がある理由、おもな免責事項や重大事由について詳しく説明していきます。

団信とは

団信とは団体信用生命保険のことで、生命保険の一種です。

住宅ローンは長期にわたる借り入れなので、返済期間中に契約者が亡くなったり、高度障害になったりするリスクが短期のローンよりも高いです。そういった万が一の際に、遺族が住むところを失い、銀行は貸し倒れになるのを防ぐのが団信です。

団信のおかげで契約者も金融機関もwin-winの関係を築くことができます。

ちなみに団信の受取人は住宅ローンを貸し出す金融機関ですので、保険金は直接金融機関に支払われます。

団信の保険金が支払われないケースもある

そんなありがたい団信ですが、死亡や高度障害になれば必ず保険金が出るわけではありません。民間の生命保険や損害保険の約款に書いてあるように、団信にも免責事項や重大事由というものが存在するからです。

免責とは文字通り「責任を免れること」で、つまり免責事項は保険会社が保険金の支払いをする責任がない事項のことです。

また、重大事由とは保険会社と契約者の信頼関係をなくす行為のことで、保険会社が契約を解除できることになっています。

なぜ免責や重大事由があるの?

加入者からすれば免責がなく、どんなケースでも支払ってもらいたいものです。なぜこのような免責事項がもうけられているのでしょうか。

免責がある理由を見ていきましょう。

公平性を保つため

保険会社には、保険加入者間の不公平が発生しないようにすることが求められます。

免責や重大事由をなくして何でもありにしてしまうと、保険金目的でモラルに反することをする人が出てきてしまいます。そうすると、自己中心的な人やモラルにかける人ばかりが得をして、正直者が馬鹿を見る不公平な状態になってしまいます。

このような不公平な状態を作らないためには、どこかで線引きをする必要がありますが、その線が免責事項や重大事由です。

不正や事件を防ぐため

免責や重大事由がなくなってしまうと、それを逆手にとって不正をする人もいます。極端な話をすれば、被保険者を殺しても保険金を受け取れることになります(もちろんつかまって刑事罰を受けることになりますが)。

免責や重大事由がないと、団信が不正や事件の引き金になってしまうことも考えられます。

全部保障すると保険料は高くなる

団信の保険料はタダではありません。特約を付けないかぎり無料だと思っている人がいるかもしれませんが、それは住宅ローン金利の中に組み込まれているだけです。

何千万円もの保障がある団信を、保険会社が善意でプレゼントしてくれているわけがありません。団信も保険会社にしっかり利益が出るような保険料が設定されています。

もしも免責や重大事由をなくしてしまうと、保険会社が保険金を支払うリスクは高くなるので、保険料は今よりも上がり、その結果として、わたしたちが支払う住宅ローンの金利も高くなってしまいます。

保険会社の経営を維持するため

保険会社も民間の企業であり、絶対につぶれないわけではありません。保険会社の想定を上回ることが起きた時にも、経営を維持できるようにするためには免責や重大事由が必要になってきます。

団信の主な免責事項や重大事由

団信の免責事項や重大事由には、一般的に次のようなものがあります。

被保険者が保険契約後短期間での自殺

被保険者が契約後短期間で自殺をした場合、団信の保険金は支払われません。

短期間というのは、普通の生命保険だと3年以内が多いですが、最近の団信では1年以内となっているものが多いです。

保険契約者、保険金受取人、被保険者の故意

被保険者などの故意により死亡したり、所定の高度障害になったりした場合も、団信の保険金は支払われません。

戦争その他の変乱

戦争やその他の変乱で多くの方が亡くなったり高度障害になったりすると、保険会社は保険金を支払いきれない可能性があるため、免責事項になっています。

しかし、被害を受けた方の人数によっては、保険金を全額または減額して支払うことがあります。

告知内容義務違反

団信加入時に記入する告知書に誤りがあると、告知義務違反となって保険金は支払われません。告知は必ず、正確に記入しましょう。

ちなみに死亡や高度障害の原因が告知の誤りと因果関係がない場合は、保険金が支払われることがあります。

詐欺行為や不法取得目的

詐欺行為や不法取得目的があった場合、保険会社は保険を解除できます。もちろん保険が解除されれば、保障はなくなって保険金はおりません。

反社会的勢力

反社会的勢力の人や、反社会的勢力と関与している人は団信に加入することができません。ウソをついて加入しても発覚した時点で、保険会社から契約を解除されてしまいます。

がん特約の免責期間

団信でがん特約や三大疾病特約を付加した場合でも、がんに関する保障には90日間の免責期間があります。90日以内にがんと診断されても、団信の保険金は支払われません。

ほとんどのがん保険でも同様の免責期間があります。

契約印を押す前にしっかり確認しておこう

住宅ローンや団信の契約印を押すことは、免責事項や重大事由にも同意した上で申し込むことを意味します。

万が一の際に、「そんなことは知らない」と言ってもあとの祭りです。住宅ローンは一生で一番大きな借金になることがほとんどです。面倒くさがらずに、免責事項や重大事由はしっかり確認しておきましょう。

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