生命保険を解約する前に確認しておきたい10の注意点

生命保険はライフステージや収入や社会の変化などにより、定期的に見直しが必要なものです。見直しによっては、加入している保険を解約することもあります。この生命保険の解約には、注意するべき点がたくさんあります。

今回は、生命保険の解約前に知っておきたい10の注意点を紹介していきます。

解約書類を出すとすぐに保障はなくなる

保険の解約書類を提出すると、その時点ですぐに保障がなくなります。

月末までの保険料を払っていたとしても、解約処理は月末を待たずに行われ、月の途中であっても保障は打ち切られます。何日付けで解約というような予約もすることはできません。

解約払戻金の推移は要チェック

掛け捨てでない生命保険の解約払戻金は、解約するタイミングによって金額が変わってきます。解約を検討する際には、解約払戻金の額だけでなく今後の推移もチェックしましょう。

特に、低解約払戻金特則付きの終身保険だと、保険料払込期間後の解約払戻金が一気に上がります。解約するよりもそのまま継続した方がトクなケースもあるので、解約手続き前に確認しましょう。

新しい保険に加入できない可能性がある

見直しで新しい保険に切り替えようと思っても、健康状態によっては加入することができません。告知の質問に該当がなくても、過去の給付歴から引き受けてもらえない可能性もあります。

新しい保険の申し込みと解約手続きを同時に行ったのに、新しい保険の加入を断られてしまうと、解約した保険を元に戻すことはできないので、無保険状態となってしまいます。

保障が途切れてしまうことも

新しい保険の審査を無事に通過したとしても、責任開始はまだ先ということがあります。

特にがん保険は、一般的に3ヶ月間の免責期間が設けられています。新しいがん保険申し込み後すぐに古いがん保険を解約してしまうと、保障がない空白期間が生まれ、その間にがんが見つかっても新旧どちらのがん保険とも対象外となってしまいます。

仮に保険料を3ヶ月分多く支払うことになったとしても、新しい保険の責任開始後に古い保険の解約手続きを行う方が安心です。

解約払戻金に税金がかかることがある

受け取った解約払戻金に課税されるケースがおもに3つあります。

利益が出るケース

解約払戻金がこれまでに払い込んだ保険料の総額を超えると、所得税の中の一時所得の課税対象になります。解約払戻金から払込保険料を引いた差額、つまり利益が課税対象です。

一時所得には50万円の特別控除があるので、50万円以下であれば課税はされませんが、この50万円の控除は年間の一時所得の合算です。

他の一時所得と合算して50万円を超えてしまうときには、解約する年をずらしたり、解約ではなく減額(一部解約)したりして、一時所得を50万円以下に抑えることによって節税が可能です。

保険料負担者と解約払戻金の受取人が異なるケース

通常は契約者=保険料負担者=解約払戻金受取人ですが、契約者と保険料負担者が異なる契約もあります。

たとえば、契約者が息子で保険料負担者が父親のケースで、解約払戻金を契約者の息子が受け取ると、保険料を負担した父親から解約払戻金を受け取った息子への贈与に該当します。贈与ですので、課税される税金は贈与税です。

贈与税には110万円の基礎控除があるので、それ以下であれば税金はかかりませんが、贈与税も一時所得と同様に年間の贈与を合算する必要があります。他の贈与と合算して110万円を超えてしまうときには、解約する年をずらしたり、解約ではなく減額(一部解約)したりして、贈与の総額を110万円以下に抑えることによって節税が可能です。

法人契約のケース

法人契約の生命保険を解約して受け取る払戻金は、資産計上額を引いてプラスになる額が会社の益金となります。資産計上額の無い生命保険であれば、解約返戻金全額が益金です。

法人契約の生命保険の解約時期は、会社の収支を見ながら決めた方がいいでしょう。

特約のみ残すことはできない

生命保険には主契約と特約があります。主契約が土台となり、その上に特約を乗せているイメージです。土台がなければその上に何も乗せられないので、主契約を解約して特約だけ残すことはできません。

  • 特約を解約し主契約のみ継続  →  〇 可能
  • 主契約を解約し特約のみ継続  →  × 主契約解約で特約も消滅

古い保険だと年払いや半年払いの未経過保険料が返ってこない

契約日が2010年3月までの生命保険は、年払いや半年払いの未経過保険料が返金されません。

1月に1年分の保険料を支払って2月に解約しても、3月~12月分の保険料は戻ってこないのです。それでも解約手続きを行うとその時点で保障はなくなってしますので、12月までは解約せずに保険を継続した方がいいでしょう。

解約以外の方法もあるかもしれない

解約を検討する理由は様々ですが、場合によっては解約以外の方法で対処できることもあります。

保障を最新化したいのなら、足りない保障を他の保険や特約でカバーできることもあります。不要な保障があるのなら、その部分のみ外したり減らしたりすることもできるかもしれません。保険料を削減したいのなら、減額や特約解約や払い済み保険も選択肢の1つです。

 解約以外に考えられる方法

  • 最新の保障を備えたい  →  追加契約、特約中途付加、転換
  • 不要な保障をなくしたい →  減額、特約解約
  • 保険料を減らしたい   →  減額、特約解約、払い済み保険

口頭では解約できず書類の提出が必要

解約の意向を口頭で伝えただけでは、解約したことにはなりません。契約時にも手続きがあったように、解約時にも手続きが必要です。

解約請求書だけでなく、保険証券や本人確認書類コピーなどの提出を求められることが一般的です。契約者が亡くなったり、法人だったりした場合など、ケースによっては戸籍謄本や印鑑証明などの提出が必要なこともあります。

解約書類を提出しても保険料が引き落とされることがある

解約書類を提出すると保障はすぐになくなりますが、保険料の引き落としはすぐに止まるわけではありません。解約処理以前に銀行やクレジットカードへの請求をかけているからです。

解約後に引き落とされた保険料は戻ってくるケースと戻ってこないケースがあります。保険会社によっても扱いが異なりますので、保険料の引き落としがいつ止まるのかは解約時に確認しておきましょう。

まとめ

解約はいつでもできますが、一度解約した保険を元に戻すことはできません。解約をする際には、本当に解約して大丈夫なのか、このタイミングでいいのか、他に方法はないのかを確認した上で手続きを行いましょう。

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