住宅ローンは家計の中でも大きなシェアを占めています。金額が大きい分、削減したときの効果も大きいものです。
住宅ローンの削減として人気がある借り換えは、トータルで100万円以上の節約になることも珍しくありません。しかし、住宅ローンの借り換えにはデメリットも存在します。
今回は住宅ローンの借り換えにある10のデメリットをくわしく紹介していきます。
住宅ローンの借り換えのデメリット
諸費用がかかる
住宅ローンの借り換えには必ず諸費用がかかります。
おもな諸費用
事務手数料 保証料 印紙税 全額繰上返済手数料 司法書士報酬 登記費用など
諸費用の具体的な金額は、金融機関や借入額に左右されるのですが、借入額のおおよそ3%が目安です。借り換えには、数十万円単位のまとまった費用が必要になります。
自分に合った住宅ローンを選ぶのが大変
住宅ローンを取り扱う金融機関は数百に上り、さらに1つの金融機関が複数の住宅ローンを持ち合わせています。これらの住宅ローンの中から、自分にとってベストな住宅ローンを探すのは至難の業、というよりも自力では無理かもしれません。
審査落ちする可能性がある
住宅ローンを新規で申し込んだときと同様に、借り換えるときにも審査があります。もちろん、審査に落ちてしまうこともあります。
審査落ちしやすいケース
- 収入が下がった
- 転職や独立をしたばかり
- 他のローン残高がある
- これまでに住宅ローンの滞納があった
- 住宅の資産価値が著しく下落している
フラット35以外の住宅ローンであれば、団信の加入も必要です。健康状態によっては団信に加入できずに、審査落ちとなってしまうこともあります。
住宅ローン控除の対象外になるケースがある
住宅ローン控除の適用条件の1つに、「住宅ローンの返済期間が10年以上」という条件があります。住宅ローンの借り換えで返済期間を短くすると、この条件から外れて住宅ローン控除の対象外となってしまうケースもあります。
書類を揃えるのが手間
住宅ローンの借り換えで必要な書類はたくさんあります。本人を証明する書類、現在の住宅ローンに関する書類、収入を証明する書類、物件に関する書類などが必要です。
おもな必要書類
住民票、印鑑証明書、本人確認書類のコピー、住宅ローン返済予定表、現在の返済口座の通帳、源泉徴収票のコピーまたは確定申告書のコピー、課税証明書、登記事項証明書のコピー、売買契約書のコピー、重要事項説明書のコピー、工事請負契約書のコピー、配置図や平面図のコピー、火災保険証券
発行してもらう場所も役所、借入先の金融機関、法務局と多岐にわたるため、すべてそろえるにはかなりの手間がかかります。
時間がかかる
住宅ローンは金額も大きいため、借り換えにも時間がかかります。たくさんの書類を集め、金融機関や団信の審査があり、もちろん手続きも行います。
「ちょっと気が向いたから」、「よさそうだったから衝動買いで」なんていうのは、住宅ローンの借り換えでは無理です。思い立ってすぐに行動し、どんなに急いだとしても、実際に借り換えるのに最短で1ヶ月くらいはかかります。
団信の免責期間があるケースも
団信のがん特約だと、通常90日間の免責期間があります。住宅ローンを借り換えると団信も入り直すことになるので、がん特約を付けても新たに90日間の免責期間が生まれます。
もしも免責期間の90日以内にがんと診断されても、団信から保険金は支払われませんので注意が必要です。
変動金利にすると将来の負担が大きくなる可能性がある
住宅ローンの返済額を大きく減らしたいのなら、金利の低い変動金利を検討するかもしれません。
しかし、変動金利はその後の経済動向によっては金利が上がり、住宅ローンの返済額が上がるリスクもあります。変動金利が危ないわけではありませんが、目先の返済額だけでなく、リスクも承知した上で金利のタイプを選ぶことが必要です。
全額繰上返済の手続きも必要
住宅ローンの借り換えでは、新規の借り入れ時には必要なかったこともしなくてはなりません。それは、現在借りている住宅ローンの全額繰り上げ返済です。
借り換えでは、新旧両方の借入先金融機関とのやり取りが不可欠です。借り換えを進めると、新たな住宅ローンにばかり目が行きがちですが、全額繰り上げ返済の手続きやスケジュールについてもしっかり確認しておきましょう。
口座やキャッシュカードが増えることも
住宅ローンの新たな借り換え先が、現在取引のない銀行だと、その銀行の口座やキャッシュカードを作ることになります。なるべく銀行口座やキャッシュカードを作りたくない人にとってはデメリットです。
さらに支払い口座をまとめたい場合は、水道光熱費やクレジットカードなどの各種引き落とし口座の変更もしなくてはならず、地味に手間がかかります。
住宅ローンの借り換えには10のデメリット以上の価値がある?
住宅ローンの借り換えのメリットもたくさんありますが、多くの人は返済額を減らして節約することが目的です。住宅ローンの借り換えメリットが、10のデメリット以上に価値があるかどうかは、いくら節約できるかどうかにかかっています。
わずか1万円の節約のために、住宅ローンを借り換えたいと思う人はほとんどいないでしょうが、100万円節約できたらどうでしょうか?仮に住宅ローンの借り換えで100万円節約できるのなら、そのための手間や苦労は割りのいい仕事と考えることもできます。しかも節約できたお金に税金はかからないので、100万円の節約は100万円の収入よりも価値があります。
まずは、住宅ローンを借り換えるとどれくらい返済額を減らせるのかをシミュレーションしてみましょう。うまくいけば、数百万円単位での大幅削減ができる可能性もありますよ。
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