みなさんが加入している生命保険は1社にまとまっていますか?
金融庁から免許を取得している生命保険会社は41社(2024年8月5日現在)あります。
人によっては複数社にまたがって、生命保険に加入している人もいることでしょう。
同じような保険に重複加入している人もいるかもしれません。
今回は、生命保険に複数社から重複加入するメリットとデメリットを解説していきます。
生命保険は重複加入しても全額支払われるの?
いくつもの生命保険に加入すると、それぞれからの保険金や給付金が満額支払われないのではないかと心配する人がいます。
全額支払われないのなら、支払う保険料がムダになってしまいますね。
生命保険は重複加入しても全額支払われる
生命保険は一般的には定額方式なので、基本的には重複加入していても大丈夫。
加入している生命保険から、それぞれ満額が支払われます。
たとえば入院給付金日額5,000円の医療保険をA社とB社から加入していれば、支払われる入院給付金はそれぞれから1日5,000円、合わせると1日1万円です。
たとえかかった医療費が1日あたり7,000円だったとしても、問題なく全額受け取ることができます。
保障額が少なければ足りないこともありますが、多ければ儲かることもあるのが生命保険です。
すべての保障が支払われる
損害保険は重複加入しても損害額までしか支払われない。
生命保険は重複加入していても全額支払われますが、損害保険はそうではありません。
補償額2,000万円の火災保険に2つ加入していても、損害額が2,000万円だとそれぞれの火災保険から1,000万円ずつ合わせて2,000万円の保険金しか出ません。
損害保険は実損填補、つまり実際の損害額を補填するものなので、いくつ加入したところで損害額以上の保険金を受け取って儲かることはありません。
いくら加入しても損害額以上の保険金は出ない
生命保険に複数社で重複加入するメリット
各保険のいいとこ取りができる
似たような保険でもまったく同じ保険はありません。
保険会社によって特徴や独自の保障などもあります。
自分の望む保障が1社の保険でカバーできないときに、複数社の保険に加入することで希望する保障を持つことが可能です。
破綻リスクを分散することができる
生命保険会社も民間企業ですから、破綻する可能性もゼロではありません。
破綻しても生命保険契約者保護機構があるので、保障が完全になくなることはありませんが、削減されてしまう可能性があります。
万が一、契約している保険会社が破綻した場合、全ての保険を1社にまとめていると、受けるダメージも大きいです。
保険会社を分散することで、そのリスクも分散することが可能です。
各社の上限を超えて加入できる
生命保険には、保険会社ごとに限度額が設けられています。年収、職業、年齢によっても、加入できる上限は異なります。
死亡保険金は年収の15倍まで、高所作業などがある危険職種の人は入院給付金日額1万円まで、といった感じです。
たとえば、年齢の低い子が多くて収入が少ないシングルマザーだと、死亡保険の限度額まで加入しても必要保障額に足りないことがあります。
そんな時は複数社で死亡保険に加入することで、必要保障額を備えることが可能です。
ただ、一部例外もあって15歳未満の子どもに関しては、すべての保険会社通算で死亡保険金1,000万円までしか加入できないと決められています。
子どもに多額の死亡保険金は不要ですし、保険金目的での殺人を防ぐためです。
生命保険料控除枠を有効活用できる
生命保険料控除には限度額があります。
これは複数社でなく同じ保険会社でも行えますが、1つの契約の保険料が高すぎて生命保険料控除の限度額を大きく超えてしまう時は、契約を分けて1つを他の家族名義にすることで、生命保険料控除枠をムダにしないで済むケースもあります。
ただ、死亡保険などは受け取る時の税金が不利になることもあるので、他の家族名義にするのは非課税の医療保険などがいいでしょう。
生命保険に複数社で重複加入するデメリット
保障や保険料にムダが出やすい
生命保険に複数社で重複加入すると、保障が必要以上になりやすいです。
必要以上の保障があるということは、その分の保険料もムダにしていることになります。
保険は基本的には損をするものなので、必要以上に入ることはおすすめしません。
手続きに手間がかかる
保険金や給付金を請求するとき、生命保険に加入している保険会社の分だけ手続きが必要です。
記入する書類や揃える必要書類もそれぞれ準備しなくてはなりませんし、そもそも必要書類は会社によっても異なるので、請求する保険会社が多いと混乱してしまうかもしれません。
乗り合い代理店から加入していて窓口が1つであったとしても、書類はそれぞれの保険会社へ提出しなくてはなりません。
保険金や給付金の請求だけでなく、住所変更、口座変更、受取人変更などの保全手続きも同様で、各保険会社で行う必要があります。
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