貯蓄型の生命保険は一括払いが得？メリットとデメリットを解説

学資保険や終身保険などの貯蓄型の生命保険を検討するときに、一括払いをすると得だとよく聞きます。確かに一括払いをすると、トータルで支払う保険料は安くなるので得です。

しかし、一括払いはメリットだけではありません。

この記事では生命保険を一括払いにするメリットとデメリットをくわしく解説していきます。

生命保険の一括払いとは

生命保険の支払方法と言えば、月払い、半年払い、年払いが一般的です。一番多いのが月払いで、たまに年払いや半年払いも見かけます。

しかし、生命保険の支払方法はこの3通りだけではなく、一括払いというものがあります。一括払いは全期間の保険料を一括で支払う方法です。

保険料払込期間が終身でない生命保険であれば、一括払いを選ぶことが可能です。

一括払いは保険料をまとめて支払うことで、月払い、半年払い、年払いよりも保険料が安くなります。

一括払いには一時払いと全期前納の2種類がある

生命保険の一括払いには、一時払いと全期前納の2種類があります。

どちらも全期間の保険料を一括で支払う点では同じで混同されがちですが、実はまったくの別物です。

一時払いは全期間の保険料をまとめて保険会社に「支払う」のに対して、全期前納は全期間の保険料をまとめて保険会社に「預ける」イメージです。

それぞれのメリットとデメリットを見ていきましょう。

一時払いとは

一時払いは、全期間の保険料を一括で保険会社に支払う方法です。支払われた保険料は、1回で全額が保険料として充当されます。

一時払いのメリット

・保険料が最も安くなる

一時払いの一番のメリットは、最も保険料が安いことです。月払い、半年払い、年払いはもちろんのこと、全期前納よりも割引が大きく保険料は安くなります。

・返礼率も高い

保険料が安いということは、貯蓄型の生命保険の返礼率も高くなるということです。貯蓄型の生命保険は返礼率が高いほど得ですので、一時払いの安い保険料は魅力的です。

一時払いのデメリット

一時払いは保険料が一番安い反面、デメリットもあります。おもなデメリットは次の４点です。

・生命保険料控除は1回のみ

一時払いで支払った保険料は、全額が1回で保険料に充当されるため、生命保険料控除が適用されるのは保険料を支払った初年度のみです。次年度以降は生命保険料控除を使うことはできず、保険会社から生命保険料控除証明書も送られてきません。

・被保険者が亡くなっても保険料は戻らない

保険期間中に被保険者が亡くなった場合、保険料は戻ってきません。死亡保障であれば死亡保険金が支払われますが、契約後数ヶ月で亡くなっても支払った保険料の返還はありません。

・途中で解約しても保険料は戻らない

保険を途中で解約した場合も同じで、保険料の返還はなく、受け取れるのは解約払戻金のみです。契約して日が浅いうちに解約すると、戻ってくる保険料は大きく目減りします。

・まとまった資金が必要

全期間の保険料を一括で支払うため、まとまった資金が必要です。ある程度の余裕資金がないかぎり、一時払いを選択することはできません。

全期前納とは

全期前納も全期間の保険料をまとめて支払いますが、その保険料は保険会社が預かっている状態です。保険会社は預かっている保険料を、毎年少しずつ保険料として充当していきます。

全期前納のメリット

・保険料が安い

全期前納で支払う保険料にも割引があるため、月払い、半年払い、年払いよりも保険料が安くなります。

・生命保険料控除を毎年使うことができる

全期前納は全期間の保険料を預けている状態です。保険会社は預かっている保険料の中から毎年その年の分を充当するので、生命保険料控除証明書は毎年発行され、節税することができます。

・被保険者が亡くなると未経過保険料が戻ってくる

被保険者が亡くなった場合、未経過分の保険料は戻ってきます。契約して12ヶ月目に亡くなった場合、死亡保険金とは別に2年目以降の保険料も返還されます。

・途中で解約すると未経過保険料が戻ってくる

途中で解約した場合も同様です。解約時にまだ保険料として充当されていない分は、未経過保険料として返還されます。

全期前納のデメリット

・まとまった資金が必要

一時払いと同じく、全期前納でもまとまった資金が必要です。

・一時払いよりは保険料が高い

全期前納は保険料が安くなりますが、一時払いには劣ります。全期前納は月払い、半年払い、年払いよりもトータルで支払う保険料は安くなるのですが、一時払いよりは保険料が高いです。

・一時払いよりも返礼率は低い

一時払いよりも保険料が高いということは、返礼率も一時払いよりは低くなります。

支払方法の向き不向き

一時払いがおすすめの人

一時払いでの支払いがおすすめの人は、少しでも保険料を安くして返礼率を高くしたい人と、生命保険料控除が不要な人です。

一時払いは生命保険で一番保険料を安くなる支払方法です。少しでもお得に返礼率が高い貯蓄型の生命保険に加入したい人にとって、一時払いはおすすめの支払方法です。

生命保険料控除が1回しか使えないデメリットがありますが、すでに他の生命保険で控除枠の上限額まで加入している人であれば、特に問題はないでしょう。

全期前納がおすすめの人

全期前納での支払いがおすすめの人は、保険料を安くしつつ生命保険料控除を活用したい人です。

全期前納であれば、月払い、半年払い、年払いよりも保険料を安く抑えつつ、生命保険料控除で税額を抑えることができます。

一時払いも全期前納もやめておいた方がいい人

一時払いや全期前納で保険料を支払ってしまうと余裕資金がなくなる人は、一時払いも全期前納もやめておいた方がいいでしょう。想定外の事態が起きて、一時払いや全期前納の保険を解約することになると、大きな損失を被る可能性があります。

一時払いや全期前納は、当面使う予定のない余裕資金の一部で行うのが鉄則です。