自動車保険にはノンフリート等級制度があり、保険を使わずに更新すると割引率が上がり、保険を使うと割引率が下がるようになっています。
事故で保険を使うと、ノンフリート等級が3等級下がって保険料が高くなると認識している人が多いようです。
しかし、場合によっては一気に6等級も等級が下がるケースがあります。
どのような事故のときに、自動車保険のノンフリート等級が6等級もダウンするのかを解説していきます。
自動車保険のノンフリート等級制度とは
一般家庭の自動車保険では、ノンフリート等級という制度が用いられています。
（所有車が10代以上の場合はフリート等級というものもありますが、一般家庭では考えにくいため、今回はノンフリート等級についてのみ説明します。）
ノンフリート等級制度とは、自動車保険の使用状況に応じて変化する保険料の割引（割増）制度のことです。
ノンフリート等級は1等級から20等級（一部共済では22等級）まであり、通常は6等級からスタートします。
契約期間中に自動車保険を使うことがなければ、更新時に等級が上がり割引率もアップするため、保険料は安くなります。
自動車保険を使わなかったときに上がる等級は、1年更新であれば1等級、3年更新であれば3等級です。
逆に自動車保険を使うと、更新時に等級が下がり割引率はダウンするので、保険料は高くなってしまいます。
事故で自動車保険を使ったときの等級ダウンは3種類
事故に遭って自動車保険を使うと一律で3等級ダウンすると思われがちですが、それだけではありません。
3等級ダウン事故以外に、1等級ダウン事故とノーカウント事故というものがあります。
1等級ダウン事故とは、飛び石や落書き、盗難、台風などの自然災害で車両保険を使う事故などです。
ノーカウント事故は、人身傷害保険、搭乗者傷害保険、弁護士費用特約、個人賠償責任特約、ファミリーバイク特約のみを使う事故などです。
1等級ダウン事故1回であれば更新時に等級が1つ下がり、ノーカウント事故のみだと無事故扱いなので更新時に1つ等級が上がります。
1等級ダウン事故とノーカウント事故を除く対人や対物などの事故は、すべて3等級ダウン事故です。
たいていの事故は3等級ダウン事故に該当するので、自動車保険を使うと基本的には3等級ダウンすると思っていても差し支えないでしょう。
1回の事故で6等級ダウンなんてありえるの？
このように自動車保険では、3等級ダウン事故、1等級ダウン事故、ノーカウント事故の3種類しかありません。
1回の事故で6等級ダウンなんてなさそうですが、ケースによってはあるのです。
6等級ダウン事故ではなく、3等級ダウン事故×2回として。
たとえば、運転中に他人の家の塀に突っ込んでしまい、車をバックさせたところで別の車と接触してしまったようなケースです。
運転者からすれば1回の事故のように感じるかもしれませんが、保険会社は他人の家の塀にぶつかった事故と、バックで別の車と接触した事故の2回に分けてカウントすることがほとんどです。
この両方の事故で自動車保険を使えば、3等級ダウン事故×2回となり、一気に6等級ダウンしてしまいます。
6等級ダウンすると保険料はいくら上がるの？
3等級ダウン事故×2回で6等級ダウンすると、保険料はどれくらい上がるのでしょうか。
下の表は一般的なノンフリート等級の割引率です。
7等級以上には、「事故なし」と「事故あり」の2種類の係数があります。
6等級ダウンすると、6年間は「事故あり」係数で保険料が計算されます。
先ほどの割引率の表では、保険料がどれだけ上がるのか分かりにくいので、割引前の保険料を100％として各等級の保険料を％で表してみましょう。
これを見ると、6等級ダウンで保険料がどれくらい上がるのかが分かりやすくなります。
たとえば、「事故なし」の20等級だった人が6等級ダウンして「事故あり」の14等級になると、保険料は37％から69％に、約1.86倍（69％÷37％）になります。
つまり、これまでの年間保険料が3.7万円だとしたら、6等級ダウンによって6.9万円に上がるということです。
どれだけ保険料が上がるかは、現在の等級によって異なってきますが、一番高くなるのは「事故なし」7等級から6等級ダウンしてしまうケースです。
「事故なし」7等級の70％が1等級の164％になると、保険料は約2.34倍（164％÷70％）になります。
こうなってしまうと更新後の保険料も心配ですが、そもそも更新してもらえない可能性も出てくるので、そちらの方が心配かもしれません。
6等級ダウンになっても自動車保険料を抑える方法
ノンフリート等級が6等級ダウンしてしまうと、保険料が大きく上がるのを覚悟する必要があります。
しかし、保険会社を見直すことで、保険料を抑えることは可能です。
ノンフリート等級は保険会社を乗り換えても引き継がれるのですが、そもそも自動車保険の保険料は保険会社によって差があります。
同じ等級で同じ補償内容であっても、保険会社によって保険料は異なるのです。
保険会社を見直すことで、年間保険料が5万円以上安くなるケースさえあります。
6等級ダウンの人はもちろん、事故なく等級がアップする人も各保険会社の見積もりを比較してみるのがおすすめです。
コメント