電力会社の電気料金プランの多くは、基本料金(または最低料金)+電力量料金という形でが、新電力の中には基本料金が無料の電気料金プランもあります。基本料金0円はお得になりそうですが、必ずしも電気代が安くなるわけではありません。
この記事では基本料金が無料の電気料金プランの仕組みや、どんな人に向いているのかを解説していきます。
新電力の中には基本料金が無料の電気料金プランもある
2016年4月に電力自由化によって、多くの企業が電気の小売事業に参入しました。そのおかげで、今は大手電力会社以外の新電力とも自由に契約することができるようになっています。
新電力の電気料金プランは様々です。1kWhあたりの電力量料金単価が違うだけでなく、基本料金が無料になっているプランもあります。
基本料金無料の電気料金プランがある新電力は、Looopでんき、楽天でんき、ONEでんきなどです。
一般的な電気料金プランと基本料金無料の電気料金プランの仕組みを見てみましょう。
一般的な電気料金プランの仕組み
一般的な電気料金プランは、東京電力のスタンダードSを例に挙げます。
上の画像のとおり、基本料金のあることが分かります。
この基本料金を左右するのは、契約アンペアです。
契約アンペア | 基本料金 |
10A | 286円 |
15A | 429円 |
20A | 572円 |
30A | 858円 |
40A | 1,144円 |
50A | 1,430円 |
60A | 1,716円 |
契約アンペアが大きいほど、基本料金は高くなります。
基本料金無料の電気料金プランの仕組み
基本料金無料の電気料金プランは、楽天でんきのプランSを例にしてみます。
東京電力のスタンダードSにはあった基本料金が、楽天でんきのプランSにはありません。燃料費調整額と再生可能エネルギー発電促進賦課金に関しては、基本料金のあるプランと同じです。
基本料金が無料でも電気代が安くならないことがある
基本料金がなければ電気料金が安くなるかというと、そういうわけではありません。一般的に、基本料金無料プランは電力量料金が高めに設定されているからです。
さきほどの東京電力のスタンダードSと楽天でんきのプランSの電力量料金を比較してみます。
電力使用量 | 東京電力スタンダードS | 楽天でんきプランS |
~120kWh | 19.88円 | 29.45円 |
121kWh~300kWh | 26.46円 | 29.45円 |
301kWh~ | 30.57円 | 29.45円 |
東京電力のスタンダードSの電力量料金は、電力使用量によって単価が変化します。電気を多く使用すると、電力量料金単価も上がっていく仕組みです。
一方、楽天でんきのプランSの電力量料金は、電力使用量にかかわらず電力量料金単価は一律です。電力使用量が300kWhまでは、楽天でんきの電力量料金単価の方が割高であることが分かります。
そのため、契約アンペアが小さくて電気使用量が少ない人は、楽天でんきの電気料金の方が高くなってしまいます。
例として、契約アンペアが20Aで、月の電気使用量が100kWhのケースを計算してみましょう。(ここでは、燃料費調整額と再生可能エネルギー発電促進賦課金を無視して計算します。)
・東京電力スタンダードSの場合
基本料金572円+100kWh×19.88円=2,560円
・楽天でんきのプランSの場合
100kWh×29.45円=2,945円
今回の条件では、基本料金のある東京電力のスタンダードSの方が400円近くも電気代が安くなりました。
基本料金無料プランが向いている人
同居人数の多い人
同居人数が多いと、契約アンペアは大きくなります。契約アンペアが大きいと基本料金も高くなるので、基本料金が無料になったときのインパクトも大きいです。
また、同居人数が多いと、電気の使用量も増えます。基本料金がないプランは、電力量料金単価が一律なので電気の使用量が少ないうちは割高ですが、使用量が増えると基本料金のあるプランの単価の方が高くなります。
契約アンペアが大きく、電気の使用量も多くなりがちな同居人数の多い人は、基本料金無料プランにすることで電気代を安くできる可能性が高い人です。
普段は電気を使わない物件がある人
日頃から生活している自宅とは別に、たまにしか電気を使わない物件には、基本料金無料プランがおすすめです。
基本料金があるプランだと、電気を全く使わなくても電気料金が発生してしまいます。しかし、基本料金無料プランであれば、毎月の電気代はかかりません。
年に数回しか行かない別荘や、空き家になっていてたまに空気を入れ替える程度の実家などは、基本料金が無料の電気料金プランの恩恵を受ける可能性は高いです。
電気料金プランは基本料金にこだわらずトータルで考えよう
新電力への乗り換えであれば、必ず電気代が安くなるわけではありません。それは、基本料金が無料の電気料金プランでも同様です。さきほどの試算のように、基本料金が無料でも電気代が高くなってしまうケースはあります。
電気代を安くするために重要なのは、自分の生活スタイルに合った電気料金プランを選ぶことです。基本料金の有無にはこだわらず、自分に合った電気料金プランを選べば、電気代を安くできる可能性があります。
700社以上もある新電力の中から、自分に合った電気料金プランを選ぶのは簡単なことではありません。ですので、電気料金プランの比較サイトを利用するのが、簡単でおすすめです。
わたしはこれまでに5回ほど電力会社の乗り換えをしています。
そのほとんどで利用しているのが、大手比較サイトのエネチェンジです。会員登録をしなくても、契約できる電力会社の料金プランが多数表示され、乗り換えるといくら安くなるのかも分かります。
エネチェンジにはキャッシュバックなどの独自特典も多いので、電気料金プランの乗り換えを検討するなら、利用しない手はありません。
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