生命保険を検討する際に選択肢の1つとして比較されることが多い共済。その中でも都道府県民共済は、全国での加入件数が2,100万件以上もある人気の共済です。
都道府県民共済は生命保険よりも安いというイメージがありますが、本当なのでしょうか。
この記事では、都道府県民共済のメリットとデメリットを説明し、都道府県民共済がおすすめのケースと生命保険がおすすめのケースを紹介していきます。
都道府県民共済とは
都道府県民共済は、非営利組織の全国生活協同組合連合会が元受けとなって行っている共済事業です。鳥取県と沖縄県を除く、45都道府県で運営されています。
保険会社には金融庁の認可が必要ですが、都道府県民共済は厚生労働省の認可を受けて行われています。
生命共済だけでなく火災共済の取り扱いがあり、地域によってはブライダルやスーツ、注文住宅まで取り扱っているところもあります。
都道府県民共済のメリット
掛け金が安い
生命保険会社は営利組織ですが、全国生活協同組合連合会は非営利組織です。営業マンも存在しません。利益を追求しない分、掛け金は安くすることができます。
上の画像は「総合保障2型」の保障内容です。月々2,000円の掛け金で入院保障4,500円や死亡保障400万円をはじめ、これだけの保障を持つことができます。
保障額が中途半端で保険期間も異なるため、民間の保険会社と単純に比較することはできませんが、民間の生命保険よりもコストパフォーマンスは高いと感じます。
特に中高年の掛け金が安い
通常の生命保険であれば年齢とともに保険料も上がっていきますが、先ほどの画像の「総合保障2型」は、掛け金も保障額も18歳から60歳まで一律です。つまり、60歳手前の中高年ほど、生命保険に比べて都道府県民共済の方が相対的に掛け金は安いということです。
実際にいくつかの生命保険会社で「50歳男性・保険金額400万円・保険期間10年」という条件の定期保険を試算したところ、月払保険料が2,000円を超えるものもいくつかありました。「総合保障2型」はさらに入院保障や事故による通院保障などもあるのに、それでも月の掛け金は2,000円です。
中高年であれば、生命保険よりも都道府県民共済の方が圧倒的に安く保障を準備できます。
割戻金がある
都道府県民共済には割戻金があります。営利企業ではないため、毎年あまったお金を割戻金として返しているのです。
あまる金額は毎年変動がありますが、2020年度の都民共済「総合保障2型」の割戻率は39.77%でした。約4割のお金が割戻金として返ってきたので、実質の掛け金は月々約1,200円だったということになります。
ただでさえ安い掛け金なのに、そこから割戻金まであるのは、都道府県民共済の大きなメリットであり魅力です。
生命保険料控除の対象になる
都道府県民共済は保険ではないので、生命保険料控除は関係ないと思われがちですが、実は生命保険と同じく生命保険料控除の対象になります。都道府県民共済にかぎらず、他の共済も同様です。
都道府県民共済のデメリット
誰でも入れるわけではない
都道府県民共済に加入できるのは、その都道府県に在住もしくは在勤の人のみです。東京に住む都内勤務の人が大阪府民共済に加入することはできません。他の都道府県に引っ越した場合は、転居先の都道府県民共済に移すことは可能です。
また、住まいと勤務地の都道府県が異なる場合でも、加入できるのはどちらか1つの都道府県民共済のみです。
残念ながら、県民共済がない鳥取県と沖縄県の人は、勤務地がそれ以外の都道府県でないかぎり、現時点では都道府県民共済に加入できません。
出資金が必要
都道府県民共済に加入するには、出資金を払って組合員になることが必要です。
出資金は100円や200円程度の少額で、共済をやめて脱退するときに返還されます。
保障額が少ない
都道府県民共済で加入できる保障には限度があります。総合保障だと4型という月の掛け金4,000円のプランが一番大きい保障ですが、それでも病気死亡の保険金額は800万円です。
大きな保障を希望する人にとっては、都道府県民共済だと物足りません。
終身保障はなく、高齢になると保障額が減っていく
都道府県民共済には、保険期間が終身のものはありません。都道府県民共済に割戻金があるのは、1年定期で自動更新だからです。
高齢になるとコースも変わりますが、現時点での保障期間は最長で85歳までです。
「総合保障2型」だと、60歳から死亡保障額などが下がります。65歳以上には「熟年型」という共済があります。
この画像にあるように、「熟年型」も年齢とともに保障額は下がっていきます。
生命保険のようなサービスはない
生命保険を契約した時にもらえるような粗品は、都道府県民共済ではもらえません。営業社員が訪問して保障内容を説明してくれることはなく、共済金の請求時にも自宅に来てもらって手伝ってもらうこともできません。
経営破綻したときの補償がない
生命保険には、生命保険契約者保護機構という保険会社が破綻した際のセーフティネットがあります。都道府県民共済だけでなく、共済にはそのような契約者保護の仕組みがありませんので、経営破綻した場合の保障はありません。
法人契約はできない
都道府県民共済は個人のみを対象としています。法人として契約することはできません。
都道府県民共済がおすすめのケース
・シンプルな保障を安く備えたいケース
県民共済で大きな保障を用意することはできませんが、そこまで大きな保障が必要なければ、県民共済で十分なこともあります。割戻金を考慮した実質の掛け金はかなり安いので、少しの保障でよければ都道府県民共済がおすすめです。
・働き盛りの保障を上乗せしたいケース
都道府県民共済には終身の保障がありません。一方で40歳~50歳代だと生命保険に比べてかなり割安です。40歳~50歳代は働き盛りで収入も多いので、保障を厚くしておきたい時期でもあります。民間の生命保険に加入した上で、都道府県民共済を上乗せ保障にするのは、いい活用法です。
生命保険がおすすめのケース
・大きな保障が必要なケース
都道府県民共済だけで大きな保障は持てません。扶養家族が多い人や、子どもが小さい人はまず生命保険に加入することを考えましょう。
・一生涯の保障が欲しいケース
都道府県民共済は1年満期の自動更新です。現在は最長でも85歳までしか継続できません。一生涯の保障を希望するなら、都道府県民共済ではなく生命保険です。
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