老後に必要な保障は?定年退職時の生命保険の見直し方法

定年退職は第二の人生のスタートであり、人生の大きなターニングポイントです。

退職後のライフスタイルは大きく変わるため、生命保険を見直す絶好の機会にもなります。

老後の生活に向けて、どのように生命保険を見直せばいいのか、くわしく解説していきます。

定年退職はライフスタイルが大きく変わる

定年退職はわたしたちの人生の大きな転換期です。

生命保険をどのように見直したらよいのかを考える前に、まずは退職するとどのような変化があるのかをイメージしてみましょう。

収入の変化

現在は以前のように60歳から年金が満額もらえるわけではないため、定年後も再雇用やアルバイトで働き続ける人が増えています。

しかし、同じ職場で再雇用されることになったとしても、給与収入は大きく減ることがほとんどです。

雇用形態によっては勤務日数や勤務時間も変わってきます。

個人年金や企業年金に加入していれば、それらを受給することが可能です。

受給金額や受給開始時期は契約によって異なるので、各窓口に問い合わせてみてください。

支出の変化

仕事をせずに家にいる場合は、増える支出と減る支出があります。

家にいる時間が長くなれば水道光熱費はアップし、趣味に費やすお金も増えるかもしれません。

職場で受けていた健康診断や各種福利厚生、通勤のために支給された定期券もなくなり、これからはそれらをすべて自分で払わなくてはなりません。

これまではお給料から天引きされていた税金や社会保険料も、給料がなくなると納めるのは自分です。

健康保険は2年間の任意継続か国民健康保険を選べますが、任意継続にしても今まで会社が半分払ってくれたものはすべて自己負担になるので、負担は増えてしまいます。

住民税は前年度の所得を元に計算されるので、退職で収入が大きく下がった年は負担が大きくなります。

納税費用をあらかじめ用意しておきましょう。

年齢とともに医療費が増えることも、想定しておく必要があります。

一方で、スーツや靴やカバンなど、仕事のために必要だった物への出費はなくなります。

女性であれば化粧品にかける費用も減るかもしれません。

仕事帰りに付き合いでよく飲みに行っていた人は、その分の支出も減ります。

健康面の変化

年齢とともに体も衰えていきます。

健康面は定年退職と直接かかわるものではありませんが、退職前後に大病を患う人も少なくありません。

腰やひざを悪くすると、毎日病院通いなんて高齢者もいます。

社会保障の変化

定年退職される人にはあまり影響がないかもしれませんが、国民健康保険に切り替えると傷病手当金と出産手当金はなくなります。

公的医療保険の自己負担割合は、70歳以上で2割、75歳以上で1割に下がります。

しかし、現役並みの所得があると、70歳以上でも医療費の自己負担割合は3割のままです。

定年退職時に減らしたい保障

死亡保障

一般的に死亡保障は定年退職時に減らしていきたい保障です。

大きな死亡保険は現役時代に万が一のことがあって給料が入らなくなっても、家族が困らないように加入するものです。

定年退職時には、子どもも成長し独立していて、遺族への保障はそれほど必要ないケースが多いでしょう。

子どもが独立しているのに、3,000万円とかの大きな定期保険を掛けていても、もったいないだけです。

その場合には大きな死亡保障は不要なので、葬儀費用や同居している家族が困らないだけの保障を用意しておけば十分です。

定期保険だと保険料は終身保険よりも安いのですが、長生きした時に保障がなくなっているかもしれませんので、葬儀費用は終身保険で準備しておきましょう。

今は葬儀も小さく行うのが主流なので、葬儀費用目的であれば100万円程度での終身保険でも大丈夫です。

葬儀費用であれば100万円程度の終身保険で十分!

ただ、教育費がかかる年齢の子が残っていたり、多額の借入金があったりする場合には、大きめの死亡保障が必要なこともあります。

定年退職時に手厚くしたい保障

医療保障

体は年齢とともに老いてきて、ガタが出てきます。

若い頃よりも病院のお世話になるリスクは上がるので、老後資金に余裕がある人以外は医療保障を充実させておきたいですね。

特にがんを始めとした三大疾病になるリスクは高いので、手厚く備えておきたいところです。

先進医療の保障があると、治療の選択肢も広がります。

介護保障

介護認定を受け、公的介護保険を利用するにしても自己負担があります。

年金と貯蓄で余裕があれば介護保障も必要ないかもしれませんが、そんな人は一握りです。

伴侶の介護をしながらお金の心配もするのは、精神的にもきついことは容易に想像できます。

介護で預貯金がみるみる減っていくのを避けたいのなら、元気なうちに介護保障に加入してもくのがおすすめです。

相続税対策の死亡保障

死亡保障は減らしたい保障だと書きましたが、相続対策となると話は別です。

日本では相続税がかかる割合が約1割、10人に1人くらいの割合だと言われています。

相続税の基礎控除は3,000万円+法定相続人の数×600万円です。

法定相続人が伴侶と子2人の3人なら、基礎控除は4,800万円です。

この基礎控除4,800万円を超えた分に対して相続税がかかりますが、生命保険には基礎控除とは別の非課税枠があります。

生命保険の保険金に関しては、500万円×法定相続人の数が基礎控除とは別で非課税となっています。

法定相続人が伴侶と子2人だと、基礎控除の4,800万円とは別に1,500万円の保険金が非課税です。

保険金は500万円×法定相続人の数が基礎控除とは別枠で非課税になる!

自分が亡くなったときに相続税が課税されそうな人は、終身保険を使って相続対策をしておいた方がいいでしょう。

また、日本の相続の多くは不動産です。

現金がないと相続税を払えず、不動産を売却することになるかもしれません。

それを避けたいなら、相続税の納税資金として生命保険に加入するのも1つの方法です。

退職金の活用方法

退職金は多くの人にとって、人生で受け取る一番大きな金額になります。

8桁ものお金が入金されると気が大きくなってしまうかもしれませんが、しっかり管理することが重要です。

年金生活だと支出が収入を上回ることが多いので、預貯金を取り崩す必要があるかもしれません。

自宅のリフォームや改築での大きな出費を検討するなら、今後のキャッシュフローを見極めたうえで判断しましょう。

退職金を運用したいときも銀行や証券会社から勧められるままに購入するのは避け、自分が納得したリスクの少ない商品に一部を入れるにとどめておくのが賢明です。

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